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【カヤ日記⑥】3月8日伐倒、そして旅立ち

 

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このカヤも、いよいよ見納め。

お別れの日。

 

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朝7時50分、クレーン車が到着

 

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朝8時。

ポツポツと降る雨の中、伐採作業が始まりました。

今日もカヤの涙雨かな。

 

「カヤの最期に立ち会いたい」

と入れ替わり立ち替わり訪ねてくれる皆さんと一緒に。

 

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斜面の下に倉庫があるので

落ちる可能性がある枝は残してありましたが、

今日はクレーンで吊りながらの作業。

どんどん進みます。

 

まずロープで木の上部をしっかり固定して、

伐る位置まで降りてきて

チェーンソーで伐る、という作業の繰り返し。

伐採担当の小幡さんは、ずっと空中での作業です。

 

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いよいよ、一番てっぺんの梢を下ろします。

 

根はまだ生きているけれど、

木としての命が終わる瞬間に思えて

思わず手を合わせました。

 

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これがてっぺんの梢。

今日の最後に切り株に立てる

「鳥総(とぶさ)」です。

 

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よく見ると、梢の中に鳥の巣が…!

思わずラピュタを思い出した私。(←ジブリ好き)

ヒタキじゃなくて、カラスかな?

 

こんなに大きな木のてっぺんで、

さぞ気持ちよかっただろうな〜

 

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DSC_0371 地上に降りたらこんなに大きい!

 

上から順に、重すぎないように伐り縮めていきます。

折れた大枝の残り部分を吊り下げた時の、

クレーンからのアナウンスの声。

「1600」

 

これは、後できいたら

「重さが⒈6トン」という意味。

予想よりもかなり重かったそうです。

「傷んだ大枝が⒈6トンなら…」

同じ太さの健康な大枝をどこで伐るか?

 

材木としては、なるべく長く伐りたい。

でも、安全に作業できる重量と、

トラックで運べる長さの限界がある。

伐採の小幡さんとクレーンの鈴木さんが

慎重に相談して決めていきます。

 

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いよいよ、根元の一番太い幹です。

一体何トンあるんだろう?

ロープを結ぶだけでも、

ぐるりと一周しては直して確かめて、

とても慎重に進めていきます。

 

チェーンソーの歯が入った時には、

さすがに泣けました…。

でも。

ここからがカヤの第二の人生の始まり。

 

この部分は「一番玉」と言って、

市場価値が最も高い部分。

傷みがなるべく少ないといいのですが…

 

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DSC_0411 地面に降りた幹に、駆け寄るギャラリー

 

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予想したよりも、ずっとよかった!

 

「芯まで傷んでいる可能性がある」

と言われていましたが、

かろうじて芯も残っていました。

十分価値あるカヤ材として活躍してくれそうです。

ああ、よかった!

 

そして、幾重にも重なる年輪の迫力に、一同ため息。

「すごいよね〜」

「よくここまで生きたね」

DSC_0415 皆さんに促されて、家族写真も

 

DSC_0421 断面も綺麗に仕上げてくれました

 

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木として長年生きたこの地を離れて、

カヤはいよいよ旅立ちです。

私も感無量。

 

植えて育ててくれた先祖たちへの感謝と敬意、

誇らしい気持ちでいっぱい。

そして何より今日まで生きたカヤにも。

長生きで、本当にすごかったね。

今まで本当にありがとう!

そして、いってらっしゃい!

 

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伐った長さは約3メートル半。

重さは5トン以上!

トラックでは運べない重さだったので、

2つに切って運ぶことになりました。

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3トントラックが重そう…気をつけて!

カヤは市場ではなく、伊那市の製材所へ運ばれていきます。

これはまた、別の話でゆっくりと。

 

DSC_0423 迷子になりながら、数人がかりでかぞえました

 

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OLYMPUS DIGITAL CAMERA 万葉の時代から続く鳥総立て

 

鳥総立てと年輪数えには、

教育委員会の方々と、公民館長さんも駆けつけれくれました。

数人がかりでがんばって数えた年輪は…

およそ300年!

 

直径⒈5メートルにしては若いカヤでした。

「推定400年のカヤ」改め、実年齢300年のカヤ。

日当たりのいいこの丘で300年、

きっと伸び伸びと育ったのでしょう。

 

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年末に大枝が折れて以来、

あっという間に過ぎたこの2ヶ月半。

 

「カヤのためにできることをしたい!」

単なる「支障木の伐採」にだけはしたくなかった。

その一心でした。

 

結果的には、こんなにも沢山の方々が想いを寄せてくれたこと。

本当に嬉しく感謝しています。

 

そして作業を安全第一に、

気持ちのよい仕事してくれたチーム山久農林の皆さんにも。

ただただ、感謝です。

ありがとうございました。

そして2日間、お疲れさまでした!

 

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これからカヤ材がどんな風に生まれ変わるのか。

この場所も、明るく見晴らしのいい丘に生まれ変わりました。

天竜川からの風がとても心地いいです。

 

少しの切なさと、

心からの清々しさに浸りつつ。

今日はこの辺で。