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【カヤ日記④】いよいよ、伐採の日。

 

朝方まで風が強く吹いて

木々が大きく揺れざわめいていましたが、

伐採作業が始まる30分前に

この時を待っていたかのように

ピタリと止みました。

 

3月2日。

嵐が過ぎ去った、清々しい晴天のもと。

いよいよ伐採の日を迎えました。

 

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キリッとした朝の冷たい風と、

凛とした厳かな時間と空間の中で

神主さんに祝詞をあげていただきました。

 

想えばこの400年の間に、

江戸時代の飢饉や、戦中戦後の食糧難もあったことでしょう。

その度に人の命を救ってきたであろうカヤの木。

この地でずっと、人間の営みを見続けてきた命。

 

私にとっては、

子供の頃から当たり前にいてくれた

大きな大きなカヤの木。

まさかいなくなるなんて、考えもしなかった。

 

そんなカヤに感謝を捧げ、

場を清めていただき、

作業の無事を祈りました。

玉串を捧げる時には、

「いよいよ最後のお別れか…」と

思わず涙がこみ上げました。

 

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「ぜひ立ち会いたい」

と言ってくれた皆さんと一緒に

しばらくの間、和やかにおしゃべりして。

なかなか離れがたかったけれど、

最後に笑顔でカヤにお別れができました。

 

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伐採を請け負ってくれたのは、

飯島町の山久農林さん率いる

今回のための特殊伐採チーム3名。

 

伐採担当の小幡さんは、

沢山の重そうな装備アイテム(総額50万円!)を腰にぶら下げて、

ロープで吊り下がりながらの

危険を伴うチェーンソー作業です。

 

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見ているだけでハラハラするような危険なお仕事。

作業を見守りつつ、

…というよりは、すっかり見物人。笑

こんな仕事はめったに見られませんから。

 

「かっこいい〜!」という私。

「さぞ、いい眺めだろうなあ」という母。

 

入れ替わり立ち替わり訪ねてくれる人たちと、

「淋しくなるね」と、しみじみしたり

「何を作ろうか?」なんて

これからの話にも花が咲いたりして。

 

寒くなったら家に入ってお茶飲んで、

作業が気になってはまた見物にでて、の繰り返し。

昼間はポカポカ、春のよう。

ついには敷物まで敷いて、日向ぼっこまで楽しんで。

 

まさか、こんなに穏やかで平和な気持ちで

この日を過ごせるなんて思わなかったなあ。

 

夕方までに、半分以上の枝を落として

本日の作業は終了!!

 

カヤの変わり果てた姿…

胸が痛みます。

でも、まだ梢が残っていることが嬉しかった。

カヤはまだ、樹としての命を一生懸命生きている。

あと1週間、ごめんね。

待っててね。

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とにかく、作業が無事に終わったこと。

何よりでした。

特殊伐採チームの皆さん、お疲れ様でした!

 

続きはクレーン車の都合により、

来週の8日(木)になります。

 

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当初は1日、2日の2日間で伐採が終わる予定でした。

悪天候で延期になったと聞いた時は

「伐りかけのままで1週間もおくのは痛々しい…」

と内心思っていました。

 

でも、この空き時間のおかげで

一番太い幹の部分の製材ができるかどうか?

その可能性を探る猶予をもらいました。

 

「直径1.5メートルもの木の製材は

おそらく県外まで運ばないとできない」

と聞いていて、

市場のセリに出すしかないと諦めていましたが…

 

前日にフットワーク軽く下見に来てくれた

飯島町の柏屋木材さんが

「うちでなんとか挽けますよ。」

すごーい!

なんというタイミング!

 

すでに市場に出す手配はできていますが、

願わくば、余すところなく生かしたい。

そしてできれば、顔の見える人たちの元へ届けたい。

 

製材費用や売り先などまだまだ課題はありますが、

なんだかできる気がしてきました。

 

これから平成の職人達の手によって

400年生きたカヤがどんな風に生まれ変わるのか…?

見届けたいし、今から楽しみです。